数年前,タロットに興味を持ったが使ったのは五回もないと思う.
三か月前,歓迎会か何かで幹事が席割りを決めておらずそして出席者が22名だった時はこの時のためにタロットを持ち歩いていたのかと思い幹事に貸したが, まぁ微妙にグダった.カードの大きさの割に数字が小さいので席番号札には適さない.
こんなことで実感するのもどうかと思うがタロットの知名度はそこまで高くはない.よく回想すれば私もタロットの本を読むまではドラクエⅣか爆ボンバーマンかそこらへん程度の知識しかなかったのでそういう事なんだろう.
逆に考えれば世の中の所々に浸透していると捉えることもできるが街中の書店ではタロットの入門書はほぼ占いの本である. それらを読めばカードの意味は分かるがその本の筆者や世の中でタロットを出す人たちと根本的な前提を共有できていないようなしこりが出てくる. いや、なぜそのカードを持ち出すんですか、と.流行った経緯も気になるけどどちらかと言えば空気感がまだ何かしっくり来ないんですよ、と.
そんな声が実際に伝わったのかは分からないが「タロットの秘密 」は「占いをしたい!!!!」という人以外にも間口を広げている. まずタロットカードにときめきを抱く気持ちを伝えてくれたのが助かった.
本の流れはそこから一旦タロットの起源までさかのぼってから現代までどのように深化し形を変えて一般に広まるようになったのかを丁寧に説明している.この部分も日本にどのように入ってきたのかを経由し最終的にはかなり最近のトピックまで言及しているので初心者でも読みきりやすいストーリーになっている.
後半の半分くらいはカードの意味や読み取り方の説明をしている.実はかなり前に「タロット―こころの図像学」に手を出していたのだがちょっと長くてちゃんと読めていなかったのだが, それをかなり分かりやすくしたような内容になっていてこちらは最後まで読めた.「図像学」の方も今ならもう少し読めるかもしれない.
最後の最後の方で占いの例が書いてあるがこの部分はあっさりしている.この本の意図はよくあるタロット入門書では書かれない部分をカバーすることだと思うのでページ数の都合上そこは削らざるを得なかったのだと思う.
…という風に私はこの本の内容に満足している.しかし,本の表紙(とオビ?)が既存のタロットファン向けである点が少し残念である.確かに歴史的な部分の説明は元からタロットが好きな人も気になる所だったのだと思う.その部分をアピールしておけばタロットファンはこの本を間違いなく買うだろう.
ただ,タロットと言えば占いという発想すら浮かばない層こそこの本を必要としていると思う.今タロットが好きな人よりこれからタロットを好きになる人の方が間違いなく多い.できればもう少し何も知らない人が手に取るようなそういう仕掛けが合っても良かったんじゃないかなと思う.
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